アロマスクール IFA認定 日本ホリスティックケア研究所

2012-03-30 病院でアロママッサージを実践するために必要なことその1

病院でアロマテラピーを実践したい、と希望される方から問合せをいただく機会が多い。 「どうしたら病院でアロマができますか?」、と。

病院の患者様にアロマを提供することは、とても有意義ですし、病気の人に少しでも役に立ちたいという気持ちは大変尊いと思います。

ただし、専門領域で行うには専門的な勉強と訓練が必要です。
アロマテラピーでは精油を用いますが、安全で、患者さんが心地良いと思う精油を選ぶには、精油の特性や注意も知っておく必要があります。

マッサージをする場合、病気の人は健康な人とは全く違います。
関節に変形があったり、痛みがあったり、体が動かなかったり、腫瘍が出来ていたり、、、と、入院されている方はそれぞれが重い症状を抱えている方がほとんどです。

私が病院でアロママッサージを始めて間もない頃、
40代後半のがんの女性の患者さんのところに伺いました。
その方は乳がんから肝転移がありました。
ずっと寝ているので、腰が痛い、背中が痛い、、、と仰っていました。
アロママッサージを始めると、とても気持ち良くて喜ばれていたのですが、
主治医からアロママッサージの許可はいただいていたのですが、詳細はわからなかったので、肝臓に転移しているのであれば、骨転移も可能性として考えられます。
そのため、圧はかけず、なでるくらいにしてマッサージをしました。
あとで、この方は骨転移もあることが分かりました。
事前に気づいて良かったと思った経験です。

別の患者さんは子宮がんで入院されていました。
この方はひどい腰痛で、歩行もできないと訴えられていました。
子宮はすでに手術して切除されていて、内臓の一部も切除されていました。
腰は重要ですし、骨転移による腰痛の場合は圧のがかけられないので、
事前に主治医に骨転移の確認をしていただいて、骨転移はないとのことでした。
アロママッサージでは、背中のマッサージは側臥位になっていただき、腰の筋肉がほぐれるようにマッサージしました。
次回に伺った時は、腰が楽になって歩けるようになった、と喜ばました。

病院に入院されている患者さんにアロママッサージをするには、患者さんの症状や状態に合わせて、一人一人体勢を変えたり、圧の加減や時間を調整したり、精油のブレンドを変えたり・・・、オーダーメイドでアロママッサージすることが必要です。

また、技術的な側面だけでなく、患者さんの心に寄り添うことも大切な鍵です。
私はイギリスのアロマの先生から、アロマテラピートリートメントでは、
「セラピストは、クライアントが『こうしてほしい』と思うことを、クライアントが言う前にやらなくてはならない」、と教えられました。

健康な方なら、その時の状態はだいたい想像はつくのですが、病気の方の場合はその病気を知らなくては想像することはできません。患者さんの気持ちに少しでも近づく、患者さんの苦痛を少しでも和らげて差し上げるために、「今、患者さんはこういう風に感じていらっしゃるかもしれない」、と予想できれば、「こうして差し上げると少し楽になるのではないかしら」と、工夫ができます。
病院に入院している患者さんに、代替療法としてのアロママッサージを提供することを希望される方は、まずは、きちんとした病気の知識と、病気にも応用できるアロマテラピー理論、そしてアロマテラピーマッサージの技術を学んでいただいて、病気で苦しんでいる方々のお役に立っていただければと思います。
これが、病院で代替療法として実践するアロマテラピートリートメントの位置づけだと思います。

そして、アロマテラピーマッサージを必要とする患者さんに、いつでも安全で、患者さんの状態に合わせて適切なアロママッサージが提供できる世の中になることを望みます。

その病気がどんな原因で起こるものなのか、治るのか、治らないのか、どんな症状があるのか、痛みはあるのか、一般的にどんな経過をとるのか、、、などの基本情報を知っておくことは、病院で活動するためにアロマセラピストとして必要なことです。

がんの患者さん、パーキンソン病、脊髄損傷、脳梗塞やくも膜下出血などの脳血管障害、肝硬変、アルツハイマー、慢性関節リウマチ、様々な病気の方がいらっしゃいます。男性と女性、若い方と高齢の方、一人一人の症状も異なります。
患者さんの状態を予想するためには、病気の知識が不可欠です。

病院で行うアロマテラピーは、単に香りのオイルでマッサージしておしまい、という訳ではありません。(そう勘違いしている人が多いようですが)