神谷弘江 病院におけるアロマテラピートリートメント報告 「70歳代の直腸がんの患者さん」

病院におけるアロマの施術  「70歳代の直腸がんの患者さん」

現在VivatHolistic Trainingアロマテラピーコース卒業生4名で病院でのアロマの施術を目的とする活動を行っています。現在活動しているメンバーは、医療従事者2名、一般のアロマセラピスト2名です。医療の現場でアロマテラピーを広めたいという願いと、様々な病気を持つ方々にアロマテラピーがどのように受け入れられるか知りたいという思いもあり、活動に参加しました。

病院の協力の下、全病棟(慢性・リハビリ病棟4、認知症病棟1、緩和ケア病棟1)、 活動日数は月に3回。うち1回は緩和ケア病棟のみとなっています。私がこの活動に参加し早3年半が経ちますが、月3回という活動日数では希望者の方々を回りきるのはなかなか難しいのが現状です。それだけアロマテラピー希望される方が多いということで、施術側としては本当に嬉しい限りですが。

この活動を通じて感じる「病院でのアロマの役割」はアロマの香りとマッサージから得られる心身のリラクゼーションが大きいように思います。入院生活という規制の中で 患者さんは多かれ少なかれ心身の緊張を常に感じています。

不眠になったり、食欲不振、抑うつ的、不安感、等々、病気からくる症状とは別の不快感がつきまとうものです。このような中でアロマテラピーは心身の緊張を解くための役割を果たしているのではないか、と思います。

アロマテラピーのマッサージを受けた方々の声に次のようなものがあったのでほんの一部を挙げてみます

「気持ち良くて天国のよう」
「生き返りました」
「肩(足)の重い感じが嘘のように 軽くなった」
「夜、眠れるようになった」
「アロマの日を指折り数えていた」
「とても爽やかな香りで気分まで爽やかになった」
「香りを嗅いで昔の頃を懐かしく思い出した
(涙をこぼされる)」

また、慢性病棟では上手く言葉によるコミュニケーションがとれない患者さんが多いのですが、その中には硬かった表情が和らいだ方、反応に乏しかった方がある時 ぎゅっと手を握りしめてくださった方、長い時間をかけて文字盤を指して「ありがとう」の一言をくださる方などもいらっしゃいました。

そういった言葉や表情、行動からアロマテラピーは入院患者さんにささやかながらもお役に立てているのではないかと思うのです。

ここで先日伺った緩和ケア病棟の患者さんのお話しをさせていただきます。

患者さんは70歳代半ばの女性。直腸癌で余命いくばくもない方でした。彼女は余命を知りつつも、最期まで自分らしくありたいと、お元気な頃にやっていたシャンソンをまた歌うためリハビリに励んでいました。

しかし、頑張り過ぎてしまい体調を崩し、また思い通りに身体が動かないと精神的にも不安定な時期を過ごしていました。そんな時アロマを施術させていただいたのですが、まず、重く、だるくて動かせなかった腰が持ち上げられたこと!

これは、患者さんはもちろんのこと、そばにいた私も驚きました。アロマのトリートメントのためか、また大好きなゼラニウムの香りのせいか、表情も穏やかになり、前向きなお話しをされるようになっていました。施術終了後、彼女にいただいた言葉は今でも忘れません。

「あーアロマに助けられた!」

この他にも色々なケースがあります。毎回、希望される患者さん一人一人から発見や驚きがあり勉強の毎日です。

この学びを将来的には何らかの形で医療従事者やアロマセラピストへ報告し、病院におけるアロマテラピーをさらに広めていくことが、私にとって今後の課題と考えています。それにはまず、現在の活動をさらに充実したものになるようにしていきたいと 思っています。

神谷弘江
Vivat Holistic Training IFA認定アロマテラピーコース卒業
看護師


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